東信工業通信

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処理前のラッキング 15

アルマイト処理におけるラッキングとは、処理対象となるアルミニウム製品を専用の治具(ラック)に取り付け、電気的および機械的に保持する工程をいいます。

アルマイト処理は、アルミニウムを電解液中で陽極として通電し、その表面に酸化皮膜を形成する表面処理技術です。この処理を適切に行うためには、製品に安定して電流を供給する必要があり、その役割を担うのがラッキングです。

ラッキングの主な目的は三つあります。

一つ目は、製品へ確実に電流を流すことです。   アルマイト皮膜は電気化学反応によって形成されるため、接触不良が発生すると皮膜の生成が不十分になり、膜厚不足や色ムラなどの品質不良につながります。   

二つ目は、処理中の製品を安定して保持することです。処理槽内では薬液の流れやガスの発生があるため、製品が動いたり他の製品と接触したりすると傷や変形の原因となります。

三つ目は、均一な処理品質を確保することです。製品の配置や向きによって電流分布や液流れが変化するため、適切なラッキングによって均一な皮膜形成を実現することができます。

 

一方で、ラッキングには注意すべき点もあります。

ラックと製品が接触している部分は電流を供給するための接点となりますが、その部分にはアルマイト皮膜が形成されにくいため、処理後には「接点痕」や「タッチ痕」と呼ばれる跡が残ります。(言い方は会社によって異なります。)

外観品質が重視される製品では、この接点位置を目立たない箇所に設定する工夫が必要です。また、接触面積が小さすぎると通電不良や熱による焼けが発生しやすくなり、逆に大きすぎると接点痕が大きくなってしまいます。そのため、製品形状や処理条件に応じた適切なラッキング方法を必要となります。

次に治具(じぐ)についてです。

ラッキングに使用される治具は繰り返し使用されるため、酸化皮膜や汚れが付着すると電気抵抗が増加し、通電性能が低下します。そのため、定期的な清掃やメンテナンスも不可欠です。

特に量産工程では、ラッキング不良が大量の不良品発生につながる可能性があるため、治具管理は品質管理上の重要な要素となります。東信工業では年2回のタンク掃除を実施し変わらぬ品質を提供できるよう心がけております。

このように、ラッキングは単なる製品の固定作業ではなく、アルマイト処理の品質を左右する重要な工程です。適切なラッキングを行うことで、均一な皮膜形成、良好な外観品質、安定した生産性を実現することができます。

そのため、製品形状や用途に応じた治具設計と適切な管理が、アルマイト処理において非常に重要となります。